成年後見制度とは、精神上の障害や認知症などの理由により判断能力が著しく不十分な方を保護しようとする制度です。
近年では、医療技術の進歩に伴い、長生きをされる方が増えています。それはとても喜ばしいことなのですが、一方では、高齢による認知症の発症リスクが高まっているということでもあります。
誰もが、家族に迷惑をかけることなく、認知症にだけはなりたくないと思っていらっしゃることでしょう。
でも、こればかりは誰も自分の将来の姿を知ることはできません。
ですので、出来るのは、未来の万が一のリスクのために備えることなのです。
それでは認知症になった場合にはどうすればいいのでしょう。
そのような場合には、「成年後見制度」というものがあります。
成年後見には、任意後見と法定後見の2種類があります。
任意後見とは・・・
本人の判断能力が充分あるうちに、任意後見契約を結び、後見人の権限範囲も自由に設定することができます。
判断能力が低下した時に裁判所に申し立て、任意後見監督人が選任された時点で後見が開始します。
その名のとおり、任意後見監督人は任意後見人を監督します。
元気なうちに結ぶ契約ですので、自分の信頼できる方を後見人として自由に選ぶことができます。
後見人は、本人に代わって財産管理をしたり、病院・介護施設などと契約を結ぶこともできます。
法定後見とは・・・
本人に全く判断能力が無くなった後に裁判所が後見人を選任するものです。
ですので、家族がいる場合はそのうちの誰かが選任されることもありますが、そうでない場合は、全く知らない専門家等が後見人になってしまいます。
出来れば、本人の元気なうちに誰か信頼のおける人と任意後見契約を結んでおくと安心です。
また、この任意後見契約は公正証書で作成しなければなりません。
※なお、本人の判断能力の程度に応じて、制限能力者は「被後見人」「被保佐人」「被補助人」の3類型に分かれますが、ここでは、後見についてのみ述べています。